インプラント矯正で後悔しない選び方

著者：T DENTAL OFFICE 天王寺インプラントクリニック

「インプラント矯正って、本当に必要なのか」「費用が高額すぎるのでは」と悩んでいませんか？

実は、近年の矯正歯科ではスクリュー型アンカーを使ったインプラント矯正が注目されており、従来のワイヤー矯正よりも歯並びの移動が効率的で、治療期間も短縮されるケースが増えています。出っ歯や噛み合わせの改善に悩む多くの患者がこの方法を選び、一定の成功率を誇る治療法として定着しつつあります。

とはいえ、装置の固定方法や痛みのリスク、手術の必要性、費用の内訳など、分かりにくい点が多いのも事実です。さらに「インプラントと矯正はどっちが先？」「保険適用される？」「アンカースクリューは痛いのか？」といった疑問を持つ方も少なくありません。

本記事では、治療の流れから期間、医院選びや費用の目安、実際の症例まで、インプラント矯正のあらゆる角度を専門的かつ丁寧に解説しています。矯正治療後のメンテナンスやリテーナーの正しい管理方法についても、信頼できる情報源と歯科医師の監修をもとに網羅。

最後まで読むことで、「あなたにとって最も後悔のない矯正法」が見つかります。矯正治療をただの選択肢から、「人生を変える一歩」へと進めるヒントを、今すぐ手に入れてください。

インプラント矯正とは？基本から徹底解説

インプラント矯正の定義と特徴

インプラント矯正とは、歯列矯正における補助的な固定源として「矯正用インプラント（アンカースクリュー）」を歯槽骨に埋入し、歯を効率的かつ正確に動かす治療法のことを指します。通常の歯列矯正では、奥歯や前歯を固定源として歯を動かしますが、インプラント矯正では人工の固定源が加わることで、治療の自由度が大きく広がるという特徴があります。

この矯正技術は、特に従来のワイヤー矯正では難しい歯の移動を実現するために開発され、近年では症例に応じてマウスピース矯正や外科矯正とも併用されるケースが増えています。アンカー（矯正用インプラント）は直径1.4mm〜2.0mm、長さ6mm〜12mm程度のチタン製のスクリューで、歯根膜を持たず骨に直接固定されるため、安定性が非常に高いことも利点です。

インプラント矯正の大きな特徴のひとつは「歯の移動方向の制御性」が格段に向上する点です。たとえば出っ歯の改善、ガミースマイルの改善、奥歯の圧下（沈める動き）など、従来の治療では困難とされた動きが実現しやすくなります。

また、治療期間の短縮にもつながることがあり、症例によっては通常の矯正治療よりも6カ月～1年程度早く終わることもあります。さらに、インプラントが固定源となることで、不要な歯の抜歯を回避できる場合があるため、患者にとって負担の少ない選択肢となるケースも多くあります。

以下は、従来矯正との違いを整理した比較表です。

通常矯正	インプラント矯正
他の歯	矯正用スクリュー
制限あり	高精度で自在
限定的	難症例にも対応可能
平均2～3年	短縮可能（症例により）
抜歯が必要な場合あり	抜歯回避できる場合も

しかし、すべての患者に適応できるわけではなく、骨密度が低い、全身疾患がある、成長過程の子どもなどは適応外になる可能性もあります。そのため、歯科医師によるCT撮影や精密診断のもと、慎重に適応を判断する必要があります。

スクリューを埋入する際には局所麻酔が使われ、手術時間は10分程度で済みます。痛みは少ないですが、術後に違和感や腫れが出る場合もあります。インプラント矯正はあくまで補助的な治療手段のひとつであり、矯正全体の計画と整合する形で用いられます。

インプラント矯正は、「より短期間で、より精密に、より負担の少ない治療を実現する」ための現代的な技術です。とくに、歯並びの問題が複雑なケース、従来の矯正で満足いく結果が得られなかった方にとって、有効な選択肢となる可能性があります。

インプラント矯正が適用されるケース

インプラント矯正はすべての患者に適用されるわけではなく、特定の症例において特に高い効果を発揮します。以下はインプラント矯正が有効とされる代表的なケースです。

まず、出っ歯（上顎前突）のような前歯を大きく後方へ移動させる必要があるケースでは、奥歯を固定源にしても後方へ引く力に耐えきれず、思うような治療効果が得られないことがあります。ここでアンカースクリューを用いれば、前歯を効率的に後退させることが可能になります。

次に、ガミースマイルと呼ばれる笑った際に歯ぐきが過剰に見える状態への対応です。この症例では、上顎前歯を「圧下」させることが求められますが、インプラント矯正であれば垂直方向への移動も可能となるため、ガミースマイルの改善に大きな効果を発揮します。

また、臼歯部の挺出（奥歯が伸びて噛み合わせが悪化する状態）や、歯列の一部のみが乱れている部分矯正においても、インプラント矯正は非常に有効です。とくに奥歯の沈下をコントロールしたい場合には、スクリューを用いて圧下力をかけることが可能となります。

さらに、矯正治療の最中に歯を失ってしまい、矯正力の固定源がなくなってしまったケースでも、人工のアンカーを設置することで矯正を継続することが可能です。これは、歯列矯正中の抜歯や歯の喪失によって治療計画が変更されるリスクを軽減できるという点で、大きなメリットと言えるでしょう。

以下にインプラント矯正が推奨される主な症例を整理します。

• 上顎前突（出っ歯）
  
• ガミースマイル（歯ぐきの露出が多い）
  
• 臼歯の挺出、咬合不調
  
• 部分的な歯列の乱れ
  
• 矯正中または矯正前に歯を喪失した場合
  
• 抜歯を避けたいケース
  

一方で、以下のようなケースではインプラント矯正は適さない場合があります。

• 成長段階にある未成年（顎骨が安定していないため）
  
• 骨粗鬆症などで骨密度が著しく低い
  
• 抗凝固薬を服用している、または重度の全身疾患を持つ
  
• 口腔内の衛生状態が悪く、スクリュー周囲に炎症を起こしやすい
  

患者にとって最適な治療計画を立てるためには、矯正歯科医師による詳細なカウンセリングと、CTなどを活用した骨量・骨質の診断が不可欠です。多くのクリニックでは、初回カウンセリングでこうした診断の可否やスクリューの埋入位置などを詳細に説明してくれるため、不安を感じている方も安心して相談できます。

現代の歯科矯正において、インプラント矯正は「自由度・安全性・確実性」の三拍子がそろった治療手段です。出っ歯やガミースマイルなど、これまで「治らないかもしれない」と思っていた方にも、新たな治療の可能性が開かれています。治療を始める際は、必ず信頼できる矯正歯科で、専門的な判断を受けることが重要です。

インプラント矯正のメリットとデメリット

インプラント矯正のメリット

インプラント矯正は、矯正治療において補助的に使用される矯正用インプラント（アンカースクリュー）を用いた先進的な治療方法であり、従来の矯正治療では得られなかった多くのメリットを提供します。特に難症例や歯の移動が限定される症例に対して非常に有効とされ、患者にとっても負担が少なく、よりスムーズな治療結果が得られる点が特徴です。

まず挙げられるのが、治療期間の短縮です。従来の矯正では固定源に他の歯を利用するため、治療効率が制限される場面も少なくありません。しかし、矯正用インプラントを使用することで、歯の移動方向や力の加え方に制約が少なくなり、結果として歯の移動効率が大幅に向上します。症例によっては6カ月から1年程度の期間短縮が見込まれるケースもあり、特に大人の患者にとっては大きなメリットとなります。

次に、歯の移動の精度とコントロール性の高さが挙げられます。たとえば出っ歯の治療やガミースマイルの改善には、前歯を大きく後方や下方へ動かす必要がありますが、これを従来の方法だけで行うのは困難でした。インプラント矯正なら、スクリューを骨に固定して前歯を効果的に移動させることができるため、治療効果が安定しやすくなります。

さらに、歯の抜歯を回避できる可能性があるのも大きな魅力です。固定源の制限によって従来なら抜歯が必要だった症例でも、人工的な固定源であるインプラントを活用すれば、健全な歯を残したまま治療が可能となることがあります。これにより、患者の心理的負担を減らすことにもつながります。

治療計画の柔軟性もメリットのひとつです。インプラント矯正はワイヤー矯正やマウスピース矯正、外科矯正と組み合わせることが可能で、個々の症例に応じたオーダーメイドの治療が実現します。特に、インビザラインなどの透明マウスピースと併用することで、見た目を気にする社会人や女性にも支持されています。

以下に、インプラント矯正の主要なメリットを一覧で示します。

項目	メリット内容
治療期間	症例により6カ月〜1年の短縮が可能
歯の移動精度	三次元方向に自由にコントロール可能
抜歯の回避	健康な歯を残して治療できる可能性
難症例への対応力	出っ歯、ガミースマイル、臼歯の挺出などに効果的
治療の柔軟性	他の治療法と併用可能で個別対応が容易
審美面での満足度	前歯の圧下や整列で顔貌バランスの改善が期待できる

このように、インプラント矯正は従来の矯正に比べて多くの利点を持ち、特に短期間で確実な効果を求める方にとっては有力な治療オプションです。治療方針の幅が広がることで、より多くの患者が自分に合った最適な矯正治療を選べるようになっています。

インプラント矯正のデメリットと注意点

一方で、インプラント矯正にはいくつかのデメリットや注意すべきリスクも存在します。特に「手術が必要であること」「費用が高めに設定されやすいこと」「適応症例が限られること」などは、治療前にしっかりと理解しておく必要があります。

まず最初に注意すべきは、矯正用インプラントの埋入が外科的処置を伴うという点です。処置自体は10〜15分程度の小規模な手術で、局所麻酔のもとで行われるため痛みは最小限とされていますが、スクリューを顎の骨に埋め込むという性質上、術後に軽度の腫れや痛み、違和感を感じることがあります。術後のメンテナンスを怠るとスクリュー周囲が炎症を起こすリスクもあるため、口腔内の清潔を保つことが重要です。

次に、費用面です。インプラント矯正は保険適用外であることが多く、自費診療としての扱いになります。一般的なスクリュー1本の埋入費用は1万円〜3万円程度で、1症例につき2〜4本のスクリューが必要になることもあります。さらに、矯正治療そのものにかかる基本料金（60万円〜100万円）に加算されるため、トータル費用は高額になる傾向があります。

以下に、インプラント矯正の主なデメリットとリスクを表にまとめます。

デメリット・注意点	内容
外科的処置が必要	骨にスクリューを埋め込む手術を行う
術後の炎症リスク	清掃不良により周囲が腫れる可能性
適応が限定的	成長期の子どもや全身疾患がある人は適応外の可能性
治療費用が高額	スクリュー費用＋矯正治療費で負担が増加
脱落の可能性	スクリューが外れるケースもあり再手術が必要な場合もある
不快感や違和感	スクリュー部位に一時的な違和感が生じることも

また、適応の可否は個々の骨の状態や全身の健康状態によって異なります。たとえば、骨密度が低い人、糖尿病や心臓疾患を抱える人、喫煙習慣がある人などは、スクリューの定着が不安定になるリスクが高いため、矯正用インプラントの適用を見送られることがあります。

さらなる注意点として、インプラント矯正はすべての歯科医院で提供されているわけではなく、対応できる専門的な技術と設備を備えたクリニックに限られるという現状があります。矯正歯科選びにおいては、スクリュー埋入の実績や医師の経験、使用するスクリューの種類や手術後のフォロー体制までを比較検討する必要があります。

最後に、治療後のアフターケアも重要です。スクリュー周囲の清掃や、定期的な診療でのチェックを怠ると、骨との結合に問題が生じることがあります。信頼できる医院と綿密なコミュニケーションを取りながら、治療の進行を確認することが成功への鍵です。

このように、インプラント矯正は高い効果を持つ一方で、外科的リスクやコスト、医院選びの難しさといったデメリットも伴います。正確な情報と専門家のアドバイスをもとに、自分のライフスタイルや希望に合った選択をすることが、後悔のない矯正治療へとつながります。

インプラント矯正の治療プロセスと期間

治療のステップと流れ

インプラント矯正は、高精度な固定源である「アンカースクリュー」を骨に埋入することで、従来の歯列矯正では難しかった方向への歯の移動や、効率的な矯正治療を可能にします。治療は段階的に進み、それぞれのステップにおいて必要な設備や判断、期間が異なります。以下では、インプラント矯正の一般的な治療の流れを具体的に紹介します。

1. カウンセリングと初診 患者の歯並びや噛み合わせの状態、過去の治療歴を丁寧にヒアリングします。ここでの目的は、治療が必要か、インプラント矯正が適しているかを判断することにあります。特に既にインプラントがある場合や、出っ歯、ガミースマイルなど明確な悩みがあるケースでは、詳細な診断が求められます。
   
2. 精密検査と診断 口腔内写真、歯科用CTスキャン、セファログラムなどを用いて、骨の厚みや歯根の位置、神経の通り道などを確認します。この段階で、アンカースクリューを打ち込む位置の可否、他の矯正装置との併用の必要性、歯周病や虫歯の有無を判断します。
   
3. 治療計画の作成と説明 検査結果をもとに、スクリューの埋入位置、使用する装置（ワイヤー矯正、マウスピース併用など）、治療期間、費用の総額などを決定し、患者に説明します。この説明は歯科医師によるカウンセリングで丁寧に行われ、理解と納得が得られた時点で治療開始へ進みます。
   
4. アンカースクリューの埋入手術 局所麻酔下でアンカースクリューを顎骨に埋め込みます。手術自体は10〜30分程度で終わることが多く、痛みはほとんど感じません。手術後2〜3日で違和感が収まるのが一般的です。
   
5. 矯正治療開始 スクリューが安定したら、ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置を用いた歯の移動が開始されます。定期的に通院し、歯の動きや装置の調整を行います。特にスクリューが緩んだり脱落した場合は、再設置が必要となることもあります。
   
6. 保定と経過観察 歯が計画通りの位置へ移動し終わった後は、保定期間へ移行します。歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、リテーナーと呼ばれる保定装置を使用します。保定期間は数ヶ月から1年以上に及ぶこともあり、歯科医師の指示に従うことが重要です。
   

以下はインプラント矯正の一般的な治療ステップと所要時間の目安です。

ステップ	所要期間（目安）
初診・カウンセリング	1回（30〜60分）
精密検査・診断	1〜2回（数日以内）
診断結果と治療計画の提示	1回（30〜60分）
アンカースクリュー埋入	約10〜30分（当日）
矯正治療（装置装着と調整）	6ヶ月〜1年半
保定と経過観察	6ヶ月〜1年

インプラント矯正ではこのように複数のステップを丁寧に進めていくことが重要であり、特に初診からの段階で「矯正とインプラントどっちが先か」といった順番を正確に判断することが、治療の成功に直結します。誤った順序や準備不足によって、装置の不適合や歯並びの後戻りが発生するリスクもあります。

治療期間の目安と個人差

インプラント矯正にかかる治療期間は、患者の症状や治療計画によって大きく異なります。一般的に矯正治療単体では1年〜2年程度が目安ですが、インプラント矯正では「アンカースクリューによる効率的な歯の移動」が可能となるため、最大で30%程度の治療期間短縮が期待できるといわれています。

ただし、以下のような要因により期間は大きく変動します。

• 歯並びの状態（出っ歯、叢生、開咬など）
  
• 年齢や骨の硬さ（若年者ほど移動しやすい傾向あり）
  
• 手術の有無（抜歯や歯周病治療の併用）
  
• 治療の併用方法（マウスピースやワイヤーとの併用）
  
• 患者の通院頻度や装置の使用状況
  

以下に、代表的なケースにおける治療期間の比較をまとめました。

ケースの種類	治療期間の目安
軽度の叢生（すきっ歯・軽いガタガタ）	約6〜10ヶ月
中等度の出っ歯・開咬	約12〜18ヶ月
重度の咬合異常・顎のズレ	約18〜24ヶ月以上
インプラントが既に存在する場合	ケースにより変動

患者が気になる「いつ終わるか」という疑問に対して、診断時の説明でしっかりと「計画期間＋余裕期間（後戻り防止期間など）」をセットで伝えることが非常に重要です。また、ガミースマイルの改善や口元の突出感のコントロールなど、審美性を目的とした矯正も、治療期間に影響を与える要素です。

患者によっては、治療後のマウスピース保定が1年以上必要になるケースもあり、保定期間も治療の一環と考えるべきです。定期的なメンテナンスやチェックに通うことも、インプラント矯正の成功を左右する大きなポイントです。

さらに、以下のような生活面での配慮も、期間短縮には効果的です。

• 指示されたリテーナーの着用時間を守る
  
• 定期的な通院と装置の調整を怠らない
  
• 噛み合わせに大きな負担をかけない食生活
  
• 歯磨きや清掃で口腔内を清潔に保つ
  

治療期間中は見た目の変化が少ない時期もありますが、しっかりとした経過観察のもとで進めることで、後戻りしない整った歯並びを手に入れることが可能です。矯正はゴールの見えづらい治療ですが、信頼できる矯正歯科との二人三脚で進めることが、満足のいく結果への近道になります。

インプラント矯正と他の矯正方法の比較

ワイヤー矯正との違い

ワイヤー矯正とインプラント矯正は、どちらも歯列矯正を目的とした治療法ですが、その仕組みや適用範囲、治療効果には明確な違いがあります。ワイヤー矯正は長年にわたり一般的に使用されてきた方法で、ブラケットとワイヤーを用いて歯を少しずつ動かすのが特徴です。一方、インプラント矯正では「アンカースクリュー」と呼ばれる小さなネジを顎骨に埋め込み、それを固定源として歯を効率的に動かします。

両者の違いを表にまとめると、以下の通りです。

インプラント矯正	ワイヤー矯正
アンカースクリュー（骨に固定）	歯そのものを支点とする
難しい移動も可能（奥歯の後方移動など）	支点が動きやすく限界あり
比較的短縮可能	一般的に長め（1.5～3年）
ネジの埋入時に痛みあり	初期のワイヤー調整時に痛み
スクリュー1本ごとに追加費用が発生する	トータル費用に含まれることが多い
出っ歯・ガミースマイルなどに有効	軽度〜中等度の症例に広く対応

インプラント矯正の最大のメリットは、支点が動かない「絶対固定源」として作用する点です。ワイヤー矯正では、歯を支点にするために逆に他の歯が動いてしまうことがあり、特に奥歯を後方に移動させたい場合には限界があります。しかしインプラント矯正なら、支点が骨に固定されているため、他の歯に負担をかけずに目的の歯だけを移動させることができます。

さらに、治療期間の短縮という点でもインプラント矯正は優れています。たとえば、ガミースマイルや重度の出っ歯のような複雑なケースでも、インプラントを活用することで従来よりも短期間で整った歯並びに導けるケースがあります。

ただし、手術が必要な点やアンカースクリューの脱落リスクなども考慮すべき要素です。スクリューが骨にしっかり固定されないと、治療計画に遅れが生じる可能性があります。インプラント矯正は高度な技術を必要とするため、施術する歯科医師の経験や実績が重要となる点も、ワイヤー矯正との大きな違いです。

一方で、ワイヤー矯正は治療の実績が豊富で、装置の種類も金属やセラミックなど多様です。費用面では比較的予算を抑えられることもあり、スクリューを用いない分、外科的処置を避けたい方にとっては安心材料になるでしょう。

結論として、出っ歯やガミースマイルなどの骨格的な修正を伴う矯正が必要な場合にはインプラント矯正が有効であり、軽度〜中等度の歯並びで費用を抑えたい場合にはワイヤー矯正が適しているといえます。矯正治療を検討する際は、症例ごとの適正や医院の技術力を踏まえて選択することが重要です。

マウスピース矯正との違い

インビザラインを代表とするマウスピース矯正は、近年非常に人気のある矯正方法です。透明な装置で目立ちにくく、取り外しが可能なため衛生管理も容易です。一方で、インプラント矯正は固定式で、複雑な歯の移動が可能という大きな利点があります。

以下は、マウスピース矯正とインプラント矯正の主要な違いを整理した比較表です。

インプラント矯正	マウスピース矯正
スクリューは一部露出することあり	透明で目立たない
不可（常に固定）	可（食事・歯磨き時）
難症例（出っ歯、ガミースマイル）に強い	軽度〜中等度の矯正に向く
埋入時に痛みを伴う	初期段階で軽度の違和感
スクリュー代が追加されることが多い	トータル費用はやや高め
短縮が可能	自己管理によって延びる可能性も

マウスピース矯正は審美性と快適性が高く、多くの成人にとって魅力的な選択肢です。しかし、自己管理が不可欠で、装着時間が1日20時間未満になると、治療計画に影響が出る可能性があります。また、複雑な歯の動きや、奥歯の後方移動などには向いていないことがあります。

一方のインプラント矯正は、マウスピース矯正では難しい動きも可能で、特に骨格的な咬合異常や歯の位置が大きくずれているケースで高い効果を発揮します。出っ歯の引き下げやガミースマイルの改善、上下の咬み合わせバランスの調整など、通常の矯正では対応が難しいケースに対しても柔軟に対応できるのが大きな強みです。

また、固定装置であるため、患者自身の装着忘れといったリスクがなく、歯科医主導で正確なコントロールが可能です。ただし、外科的処置が伴うことや、局所麻酔を使用する点などは患者側にとって心理的ハードルがあるかもしれません。

マウスピース矯正を希望していても、事前の診断で「適応外」と判断される場合には、インプラント矯正のような他の方法が提案されるケースも少なくありません。特に出っ歯やガミースマイルなど、骨格や歯の位置の大きな修正が必要な症例では、最初からインプラント矯正の選択肢を視野に入れておくことで、無駄な遠回りを避けられます。

どちらを選択するかは、歯並びの状態、ライフスタイル、費用感、審美性へのこだわりなど、さまざまな要因を総合的に判断する必要があります。両方の特性を深く理解したうえで、信頼できる矯正歯科医院で精密検査を受けることが、後悔しない治療選択へとつながります。

まとめ

インプラント矯正は、従来のワイヤー矯正やマウスピース矯正では難しかった歯並びの移動を、アンカースクリューと呼ばれる小型のインプラント装置を活用して効率的に実現できる治療方法です。治療期間の短縮や固定力の高さなど、多くのメリットがある一方で、手術の必要性や費用面の不安、治療後のケアへの負担といった注意点も存在します。

特に、治療の流れや期間、治療対象となる症状（出っ歯や開咬、ガミースマイルなど）、保定装置の管理、そしてクリニック選びの重要性については、事前にしっかりと理解しておくことが欠かせません。実際、矯正を行った患者の中でも、リテーナーの使用方法を誤って後戻りしてしまったという声もあり、術後の定期的な診療とメンテナンスは治療の成功を左右する要素となります。

「痛みが不安」「通院回数はどれくらい？」「費用は本当に妥当か」などの疑問は、歯科医師とのカウンセリングの中でしっかり解消することが可能です。インプラント矯正はすべての人に必要な治療ではありませんが、自分の症状と目的に合致しているかを見極めることが、後悔のない選択へとつながります。

情報を知ることで、治療への不安は確実に減らせます。この記事で得た知識を活用し、後悔しない矯正治療の一歩を踏み出してください。放置すれば、見た目の悩みだけでなく噛み合わせや歯周病のリスクも高まり、将来的な医療費の増加につながる可能性もあります。早めの判断が、未来の安心につながります。

よくある質問

Q. インプラント矯正はどんな歯並びに向いていますか？
A. インプラント矯正は特に出っ歯や開咬、上下の前歯の突出、ガミースマイル、奥歯の後方移動が必要なケースに適しています。一般的なワイヤー矯正では十分に改善できない症状や、効率的な歯の移動が求められる複雑な歯列矯正にも高い効果を発揮します。特に、従来の装置では動かしにくい歯の位置変更が求められる患者に対しては、アンカースクリューを用いた固定により正確かつ短期間での治療が可能となります。すべての症例に適用できるわけではないため、歯科医師による詳細な診断と治療計画が不可欠です。

Q. インプラント矯正とマウスピース矯正の違いは何ですか？
A. インプラント矯正は固定力の強いアンカースクリューを利用して効率的な歯の移動を実現する治療法で、出っ歯や重度の不正咬合に対応しやすいのが特徴です。一方、マウスピース矯正は取り外し可能で目立ちにくく、軽度の歯列不正や前歯の整列に適しています。マウスピース矯正は痛みや違和感が少ない反面、装着時間や自己管理が求められ、インプラント矯正は固定性が高く予測性のある歯の移動が可能です。どちらが向いているかは、歯並びの状態、治療期間、審美性、ライフスタイルなどによって異なります。

Q. インプラント矯正の治療期間はどのくらいですか？
A. 治療期間は一般的に6か月から18か月程度が目安です。通常のワイヤー矯正が2年程度かかるのに対し、インプラント矯正はアンカーの固定力を活かして歯の移動を効率化できるため、期間を短縮できる可能性があります。例えば、奥歯の後方移動などが必要な症例でも、スクリューを活用することで従来より半年以上早く治療が完了するケースもあります。ただし、治療計画や患者の協力度、リテーナーの使用状況、歯周病の有無などによっても期間には個人差があるため、必ず歯科医師と治療前に詳細なスケジュールを確認することが大切です。

医院概要

医院名・・・T DENTAL OFFICE 天王寺インプラントクリニック

所在地・・・〒545-0052 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋１丁目３−１５ 阿倍野共同ビル7階

電話番号・・・06-6655-0700